フラリエ栄受講者インタビュー ~後編~
⑧ 書家になった経緯を教えてください。
秋山:色々きっかけはありますが、ひとつは毎年作品展があるのですが、そこに出した作品で理事長賞を頂いたのがあったんです。理事長から「こういうところがいいよね」と、直々に作品を褒めて頂いたんですよ。日展作家でもある理事長にお声がけをいただけたことが凄く嬉しかったし、それが自信になったというのはありますね。
広報:それで今度は自分がみんなに見てもらえるような立場になって作品を作っていこうということなんですね。
秋山:書家としての作品作りに関してはそうですね。
広報:では書家として意識されてきたのは最近のことなんですね。
秋山:そうですね。ゆくゆくそういうことができればいいって、30歳過ぎて大人教室通い始めたときはそんな感じだったんですが、本当に去年の受賞が後押ししてくたなと。
広報:苦労された所はありましたか?
秋山:しいて言えば、師範の資格を取得ですかね。。
その時は、会社勤めもしてたので、毎週通って練習してというのが苦労はしましたね。
自分の気持ちの中で、やりたいことはなんだ?って考えていた時に、今の仕事違うってなったんですよね。
ちょうど世代的に就職氷河期の時で、かろうじて内定が出た会社にお世話になることになった感じだったので、本当にやりたい仕事だったかっていうと、そういうわけでもなかったんですよね。結局16年その会社に勤めていたんですけど、その中でやりがいを見いだせないままに16年過ぎてしまった感じはありました。逆に言うと、今になって思えば16年の会社勤めしてる中でもっと自分の気持ち的に仕事を楽しめる考え方はできなかったのかなと考えることもあります。
広報:そういう色んなことがあったからこそ、今しかないかもという気持ちが湧き出てきたのかもしれないですね。
秋山:それはある意味必要な時間だったのかなって思いますね。
⑨ 今の目標を教えてください。
秋山:いま、書家として活動し始めてやっと半年なので、まずは安定した活動ができるようにしたいですね。教室が形になっていない部分もあるので、そういう土台の部分をしっかり作りたいですね。
あとは、自分の字に自信を持てる方を増やしたいですね。色んな方とお会いする機会が多いんですが、自分の字に自信を持っていない方が多いんですよね。
広報:確かに、いまはパソコンが普及してて書く機会が減少しているので漢字も忘れてしまうことも多いですし、自信を持てない方は多いですよね。
広報:目指している方とかはいらっしゃるんでしょうか?
秋山:実はあまりそういう方がいないんですよね。メディアに取り上げられるような方たちとか、同じ書家ではありますが存在が遠すぎて(笑
今は、海外で日本の文化に興味を持つ人が増えてきているので、そういう方たちに書道の良さを広めていければいいなと思っているだけですね。
広報:誰かのコピーではなく、自分のオリジナルなものを、ということなんですね。
⑩ ハイパージャパン(※1)に出展された経緯をお聞かせください。
秋山:ハイパージャパンというイベントの一角を担当する法人から連絡があったんですけど、会社辞める直前ぐらいだったんですが、ネットショップで自分の書いた字をグッズにするHPを作って幾つか作品として出していたんですね。それをたまたま、その法人の方がみつけてくれて、出展しませんかと?と声をかけてくれたのがきっかけです。
広報:凄いチャンスでしたね。
秋山:本当にこういうタイミングでこういうお話がくるんだなと。
ゆくゆく海外で自分の作品を発表できる機会があればしたいなとは思ってはいましたが、まさかこんな直ぐにくるとは(笑
広報:出展されて海外の方の反応はいかがでしたか?
秋山:色々ありましたね。Tシャツとか、アイフォンのケースとかは、向こうでも日常的に使うものですし若い方達は結構見ていってくれましたね。あとは、掛け軸なんかは、割と幅広く。年配の方も綺麗だねって言ってくれたりしましたね。
あとは、向こうでも書いていたんですが、筆で字を書くことが凄く新鮮みたいで、書いてるところを写真でとられることが多かったですね。
向こうの方に日本語には文字が漢字、ひらがな、カタカナと3種類あると教えたらそれに驚いてる方もいましたね。向こうはアルファベットだけですからね。
結構いろんなものが向こうに伝わっていて、武術の師範になってるイギリスの方がブースにいらっしゃったんですが、海外にはハンコの文化が無いらしくて、自分の名前を書いてハンコにしてくれって頼まれたこともありました。
⑪ これから田中書道に入会を考えている方に一言お願いします。
秋山:書道って聞くと敷居が高く感じられがちですが、普段の生活に必要なものと捉えてもらって、書くことが楽しいと感じてほしいですね。
お手本見ながら書くのって正直楽しさが見えにくいのかもしれないんですが、やっぱり綺麗にかけたときの達成感はあります。それと作品制作も、自分にはできないとやる前から決めるんじゃなくて、一回やってみてほしいですね。
昔、筆はやってましたって人も結構いるんですが、単純にお手本を見て書くだけじゃなくて、田中書道は季節で扇子やうちわにも書きますし、年に一回の作品展もありますし、そういう機会も楽しんでもらえたらと思います。
広報:練習すればどんどん上手くなるものですよね?
秋山:なりますよ!
広報:敷居の高さを感じずにチャレンジしてもらいたいですね。
※1 HYPER JAPAN(ハイパージャパン)は、Cross Media Ltd.の主催により、イギリスのロンドンで開催されているイギリス最大の日本文化総合博覧会。2010年に初開催され、2014年以降は7月と11月の年2回開催。