ひらがなを制する者は美文字を制す? ひらがなの秘密と成り立ち
こんにちは。名古屋市、日進市の書道教室『田中書道学院』 広報担当です。
今年こそ美文字が書けるようになりたい!とお思いの方多いのではないでしょうか?
または、ペン字の練習をしているのに中々上手く書くことができないとか、お手本を見ながら書けるようになったけど、お手本がなければきれいな字を書くことができない。といったお悩みをお持ちの方も多いと思います。
そんなお悩みをお持ちの方にお伺いすると、ひらがなを上手に書くことができない。とおっしゃるのです。
そこで今回は美文字を手に入れる際にキーポイントとなる「ひらがな」について深堀します。
ひらがなの秘密と成り立ちを見ていきましょう。
漢字よりひらがなが重要?
読みやすい文章は「漢字3割・ひらがな7割」と言われています。
新聞や雑誌などの読み物も大体この割合だそうです。
ということは、きれいな字でひらがなを書けるようになれば、7割方きれいな文章が書けるということになります。
膨大にある漢字をきれいに書けるようになるよりも、たった48文字練習すればよいわけです。
そう言われるとちょっとハードルが下がりますよね。
※ひらがなは五十音と言われますが、ここでは音ではなく書く文字の数です。
わ行の(ゐ)(ゑ)も入れて48字となります。
現代の文章では(ゐ)(ゑ)は必要ないかもしれませんが、仮名文字の練習をされる場合必要になります。
ひらがなの成り立ち
では、どのようにひらがなを練習するのがよいのでしょうか?
それには、現在のひらがならどのようにできたのか知る必要があります。
まず「仮名」にはひらがな(平仮名)、カタカナ(片仮名)、変体仮名、草仮名、万葉仮名があります。
日本に文字が存在していなかった時代、中国から伝わった漢字を使って、日本語の1音を漢字1文字で表した物が「万葉仮名」です。
この「万葉仮名」は音を表すためだけに使われたため、漢字そのものの意味はありません。
万葉集によく使われていたことから「万葉仮名」と言われています。
しかし、1音1音漢字で書くのは大変です。特に画数が多いと時間がかかります。
そこで万葉仮名を早く簡単に崩して書く「草仮名 」が生まれました。
この草仮名をさらに崩した字が「平仮名(ひらがな)」です。
平安時代中期ごろ、平仮名(ひらがな)が使われ始めましたが、日本語の音を表すだけの文字のため、同じ音でも複数の漢字を元にした平仮名(ひらがな)が存在しました。
たとえば「あ(a)」だけも「安・阿・悪・愛」と複数あり、それぞれ崩した文字があります。
音を表しているだけなので、それぞれの文字に意味はありません。
平仮名(ひらがな)だけで150種類ほどあり、少しずつ字形を変えながら、明治時代まで続きました。
ところが、明治33年の小学校令施行規則により、「学校教育で用いるひらがなは1つの音につき1文字、全部で48文字に限る」という一音一字主義をとって48文字を選定し、現在のひらがなとしました。
さきほどの「あ(a)」と読めるのは「安・阿・悪・愛」がありますが、一音一字主義をとって「安」を「あ」としました。
上の表を見てみると、納得です。
1段目が元となる漢字(楷書体)。2段目が1段目の漢字の草書体。3段目が今私たちが使っているひらがなです。対応している文字がわかりますよね。
楷書体だけ見ると、なぜこのひらがなが元の漢字(字母)なのか?とわかりにくい漢字でも、草書体をみると納得できます。
このうなぎの「な」は草書体の「奈」だということがわかりますよね。
読めない文字の正体 変体仮名
48文字のひらがなに選ばれなかった残りのひらがなは「変体仮名」と呼ばれています。例としては、上記の「阿・悪・愛」は変体仮名となります。
日常生活で、ふと目にする「御手茂登」「楚者(そば)」など、くずした変体仮名で書かれています。
また、普段何気なく読んでいた言葉が、変体仮名からなるものと分かり、すっきり新鮮で嬉しい発見でした。
美文字の近道はひらがなの成り立ちから
ひらがなが漢字からできているのは知っていても、どの漢字からできているのかというのは、しっかりと知らない方も多いのではないでしょうか?
ひらがなの元となる漢字を思い浮かべながらひらがなを練習すると、バランスよく書けるようになります。
お手本を漠然と覚えるより、元の漢字を覚える方がはるかに効率よく、ひらがな上達への近道となるのです。
ひらがなの成り立ちを知ると、仮名文字を練習したくなる方が多くいらっしゃいます。和歌の文字や古文書が読めるようになるとさらに素敵ですよね。
美文字を目指す方、まずはひらがなの成り立ちから意識してみませんか?整った字を書く一番の近道かもしれませんよ!
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