雅号って何?書道界における意味とつけ方について
こんにちは。名古屋市、日進市のカルチャースクール『樵雲学園』広報担当です。
先日まで放送されていた「ばらかもん」。原作はヨシノサツキによる漫画です。
主人公の書道家の「半田清舟」この「清舟」は“雅号”というもので、主人公の本名は「半田清」です。
ではなぜ名前が2つあるのでしょうか?
今回はこの「雅号」について、つけ方と共に解説します。
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雅号とは?
辞書ではこう書かれています。
文筆家・画家・学者などが、本名以外につける風雅な名。森鴎外の「鴎外」など。
デジタル大辞泉より
芸名やペンネームなどとほぼ同じ意味ですが、書道界ではこの別名のことを「雅号」といいます。
書道界で見かける「雅号」とは、書道家が自分の活動や作品に用いるために独自につけた名前のことです。
本名とは異なる雅号を用いる理由は、書道の世界でのアイデンティティの表現や独自性を示すためです。
雅号には深い意味や背景が込められており、作品や活動の一環として使われます。
書道を行っている人は、必ず雅号が必要か?
書道を趣味として楽しんでいる方にとっては、雅号を使用することは必須ではありません。
本名で活動することもできますし、特に規定や制約はありません。
しかし、書道をプロとして本格的に行っている場合や、書道界での活動をする場合には、雅号を持つことが一般的です。
雅号はその書道家の個性や独自性を示すための一つの手段なのです。
雅号はいつ使うのか? 落款印(雅号印)の使い方
雅号は、書道家が作品に署名する際や、書道活動全般で使用されます。
作品の最後には落款印(雅号印)が押されることもあります。
落款印は、書道家の雅号を彫刻した印鑑で、作品に自分の印鑑を押すことで、自身の認識を示すものです。
また、雅号は作品だけでなく、履歴書や名刺などの公的な場面でも使用されることがあります。
自分の雅号には、慎重に考えられた意味や思い入れがあるため、自分の活動や作品に対する熱意や情緒を表現する一つの手段として活用されます。
落款印は自分で作ることもできます。
石・木・銅などの印材に、篆書体を用いて印を刻す「篆刻」というものがあります。
最近では篆書体以外の文字でも多く作られています。
自分で彫って作るれる「篆刻キット」や「篆刻講座」といった彫り方が学べる講座もあります。
書道界における雅号をつけるタイミング
雅号をつける時期に決まりはありません。
「何段まで進んだらつける」とか「何年学んだからつける」といった明確な基準も基本的にはありません。
自分が名乗りたいと思った時がつけ時です。
- 作品にかっこいい印を押したいけど、本名以外の印を押したい!
- 師範資格を取得するときにつける
- 書道教室を開くときにつける
などなど、雅号をつけるタイミングは様々です。
では、雅号はどのようにつければよいのでしょうか?
大きく分けると
- 習っている師匠や先生につけてもらう
- 自分で考えてつける
この2つの方法があります。
それぞれのルールや注意点についてみていきましょう。
習っている師匠や先生につけてもらう場合
師匠や先生の1文字を頂き、もう1文字を相談してつける場合が多いようです。
この場合組み合わせも重要になってきます。
師匠や先生は多くの経験と知識を持っており、書道の才能や個性を理解してくれるでしょう。
彼らの導きによって付けられた雅号は、書道活動において大いに役立つことでしょう。
師匠や先生に直接相談し、雅号についての意見やアドバイスを仰ぎましょう。
才能や個性を理解してくれるため、適切な雅号を提案してくれることでしょう。
特に相談もなく、雅号を与えられる場合もありますが、相談できる場合は、以下の点に注意するとよいです。
書道家の武田双雲さんは以前インスタに教室から生まれた雅号を載せていました。
目標を共有する
書道を通じて何を表現したいのか、どんなイメージや世界観を持っているのかを師匠や先生に伝えましょう。共通の目標や理念を持つことで、雅号のイメージを作りやすくなります。
意味を理解する
提案された雅号には必ず意味や背景が込められています。
その意味や背景を師匠や先生からしっかりと教えてもらいましょう。
雅号の意味を理解することで、書道活動においてより深い表現が可能となります。
自分で考えてつける
自分自身の考えや感情、書道のスタイルやテーマに合わせて、独自の雅号を考えることができます。
その際には以下のルールや注意点を守ることが重要です。
独自性を持つ
他の書道家との差別化を図るために、一般的な雅号とは異なる独自性を持つ名前を選ぶことが望ましいです。
意味や背景を考慮する
雅号には深い意味や背景が込められています。自分自身の価値観や思いを反映させることができる名前を選ぶと良いでしょう。
読みやすさを重視する
雅号は作品や活動の中で頻繁に使用されるため、読みやすさも考慮しましょう。短くて覚えやすい名前を選ぶことで、印象づけることができます。
まとめ
書道における雅号は、書道家が個性や独自性を表現するために使用するものです。
本名とは異なる名前であり、作品や活動全般で利用されます。
雅号には深い意味や背景が込められており、書道家の活動や作品に対する自己表現として重要な存在です。
落款印(雅号印)は作品に自己の印鑑を押すことで、書道家の認識を示します。
雅号は、自身の活動や作品に対する熱意や情緒を表現する手段として活用されます。
自分自身の考えや感情、書道のスタイルに合わせて、独自の雅号を選ぶことで、より素晴らしい作品を創り出すことができるでしょう。
あなたの書道の世界に一つだけの特別な雅号をつけてみてください。
ちなみに「樵雲学園」の”樵雲”は田中書道学院創業者の「田中樵雲」の雅号が由来です。